美しい薔薇には棘がある
美しい薔薇には棘がある。
10代の頃は、棘が怖くて手を出せなかった。
20代の頃は、「棘があってもいい」と手を出して、傷付いてしまった。
30代になると、薔薇をなんとか手に入れようと、薔薇の棘を取ることに躍起になって
薔薇も傷付け、自分も血だらけになった。
40代になったら、薔薇のことを「棘のある植物」とやっと認識することができた。
薔薇は薔薇のままで。
変えようなんておこがましい。
薔薇は棘があるから薔薇なんだ。
棘がある薔薇は棘があるままに。
毒のある君を、毒のあるままに。
影のある君を影のあるままに。
憂いのある君を憂いのあるままに。
罪深い君を罪深いままに。
無垢な君を無垢なままに。
自分の「棘」に気づかない限り、君はきみのまま。
それでいい。それがいい。
綺麗な華は鑑賞するだけに限る。
そして50代になる頃に僕は気付くんだ。
自分自身も薔薇だった事に。
もう華が一輪もない。
ただの棘だけの荊棘になってから。
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